健康と自転車
〜自転車はからだにいい?〜

「自転車は全身運動である」「体脂肪を燃やす有酸素運動に最適である」etc・・・。いろいろ言われて久しい今日この頃です。そこで、どのように体に良いのか、どうすれば効果があるのかなど、簡単にかいつまんでいくつか紹介してみることにします。

ただレベルとしては、あくまで素人さんに自転車の良さを認識してもらうための糸口としての説明として管理人の持つ知識の範囲で書いていますので、ダイエットやトレーニングなど専門的な知識の欲しい方は、その手の分野のウェブサイトを検索してもらったほうが良いでしょう。

 ■自転車に乗ると足が太くなる?  〜筋肉の働きの違いについて〜

最近では、この問いに対しては間違いであるということがだいぶポピュラーになってきましたね。無論、競輪選手のように太くなることなど有り得ません。逆にしまってスリムになります。これは鍛える筋肉に違いがあるからです。

ここでまず把握しておきたいのが筋肉の役割。
運動系の筋肉には速筋と遅筋の2種類があり、瞬発力をつかさどるのが「速筋」持久力をつかさどるのが「遅筋」です。この速筋・遅筋は各筋肉内に一定の割合で混在しており、その割合そのものを変えることは出来ませんが、トレーニングによって体積を増やす(太らせる)ことが出来ます。体積を増やすことで、グリコーゲンを蓄積するスペースを増やすことが可能なわけです。

 筋
 筋
瞬発的に強負荷を必要とする運動
《 無酸素運動  》
軽・中負荷で長時間継続する運動
《 有酸素運動  》

エネルギー源:炭水化物
(ブドウ糖)

※炭水化物は肝臓で分解されブドウ糖に変化します。これが筋肉内に蓄積された状態を「グリコーゲン」と呼びます。瞬発的なパワー系の運動の場合、このグリコーゲンを分解消費してエネルギーを得ます。瞬時に無酸素状態での代謝が可能ですが、分解される際に乳酸が発生し、乳酸処理能力を越えてその含有量が増えると筋肉の動きが制限されてしまいます。また筋肉内のグリコーゲン含有量は体重の1%程度しかなく、長時間利用することが出来ません(2〜3分程度)。一度無くなった筋肉内のグリコーゲンは、約48時間ほどかけて元の蓄積量に調整されていきます。

エネルギー源:脂肪
(脂肪酸)

※脂肪を酸素とあわせて(酸化して)しエネルギー(脂肪酸)を得ます。効率良く燃焼し始めるまで約20分と時間がかかりますが、体全体に約20%も蓄積されている脂肪を使うため、長時間継続する運動が可能です。酸素の他にもグリコーゲンがある程度必要となりますが、筋肉内の含有量が限られるため、仮に足りなくなった場合は肝臓内に蓄えられたグリコーゲンが摂取されます。但し食事やスポーツ系ドリンクなどで炭水化物・糖質として補給すれば、瞬発的な代謝ではないためそれらから作られたブドウ糖を、血液から補うことが可能です。

〈力持ちの白い筋肉〉
鍛えた筋肉は肥大し、隆起する
体積変化が大きい
筋肉の伸縮速度が速く
短時間の急激な負荷に対応できる
〈スタミナの赤い筋肉〉
鍛えた筋肉は引き締まる
筋肉の隆起はゆるやか
筋肉の伸縮速度は遅めで
長時間の継続した負荷に対応できる

陸上で言えば、100m走などの『短距離ランナー』は速筋の体積が多く、マラソンなどの『長距離ランナー』は遅筋が多く発達しているわけです。

自転車は主に長距離を長時間走るという持久系のスポーツですから、基本的には有酸素運動に必要な『遅筋』が発達することになります。遅筋が発達すると、細部まで毛細血管が行き渡り、細胞の隅々まで酸素が供給されるようになるために新陳代謝が良くなり、同時に老廃物や栄養素の運搬も効率良く行われるようになります。

但し、競輪選手に代表されるトラックレーサーの場合は競争距離が短く、短時間で勝負が決まってしまうために、鬼コギでペダルを踏み倒せる“トルク”が必要となり、瞬発力のある『速筋』を率先して鍛えるため、大腿筋が太く肥大します。

日本では自転車競技の認識は一般にはまだマイナーで、思い浮かべるのはやはり「競輪」。イコール“自転車選手は足が太い・自転車で鍛えると足が太くなる”という迷信が出来上がってしまったのです。
実際に普通の人が競輪選手ほどの足に鍛えようとしたら、想像を絶するハードなトレーニングをこなさなければならず、とても成しえるものではありません。


 ■有酸素運動は活性酸素を増やして逆効果か??

答えはNO。有酸素運動だけが活性酸素を増やすという考え方は間違いです。安静状態でも、運動時より活性酸素が多く発生する場合もあります。また、増える事そのものが問題なのではありません。食うものが増えれば出るものも増えるのと一緒(^^;)。 たしかに物理的なエネルギー代謝で、体内で使われた酸素の2%は活性酸素になります。活性酸素は細胞膜の不飽和脂肪酸を酸化させて老化を促進します。が、普通はスカンベンジャー(抗酸化物質)であるSOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)が、発生した活性酸素を瞬時に処理してくれるため、問題ありません。ただSODは年齢とともに減っていくのでビタミンC・E・リコビン・ベータカロチン・ポリフェノールなどで補給して補う必要があります。最近注目されているゴマの成分セサミンにも、ビタミンEの約100倍の強い抗酸化作用があるそうです。
また、老化と言っても急激に老化するわけではなく、長いスパンの中での話ですので、本来は普段のきちんとした食生活で補えるものです。

どちらかというと現代人が悪玉コレステロールを貯めすぎているのがが問題。
活性酸素はこの血中コレステロールをどんどん攻撃し、酸化させます。マクロファージという血管清掃物質がそれを処理するのですが、量が多いと処理しきれずに、血管内で死んでしまうものが出てきます。すると死んだマクロファージは血管壁に溜まっていき、結果動脈硬化を引き起こしてしまうのです。

活性酸素だけを悪者にする前に、トータルな健康管理が必要であることをしっかりと認識しましょう。ちなみに“現代人は体が酸化してるからアルカリ性食品をとろう!”〜という一説は全くのウソ(誤説)です。実際に肉体のPh濃度が酸性に片寄っている状況というのはほぼ危篤状態のようなかなり極端な場合です。人間の体というのはカルシウムが足りなくなったら骨から供給するなど、自身の栄養を使ってでも常に弱アルカリ性に保とうとします。

食品そのものが酸性かアルカリ性かは関係ありません。弱アルカリ性に保とうと体が正常に機能する為の栄養がしっかり取れているかが問題なのです。まだ信じてる人は早くやめましょう。要は万事バランスが大事なのです。


 ■自転車でエクササイズ  〜自転車は続けられる!〜

上記で筋肉の役割について書きましたが、いわゆるフィットネス・ダイエットなどを考えた場合は『遅筋』のほうが重要であることにもお気付きのはずです。
有酸素系の運動にはさまざまなものがあります。代表的なところではエアロビクス・水泳・ジョギング、自転車ももちろん含まれます。
自転車の良い所は特定の設備(スタジオ・プールなど)を必要とせず、
ランほど足(特にヒザ)に余計な負荷をかけずに行なえる
こと。
そして一番のメリットは飽きにくいこと!これにつきるでしょう。

全ての運動は長く継続してこそ効果を発揮します。しかしこれがなかなか難しいもの。
自転車なら普段の足として利用するだけでそれ自体が運動。歩くことに次ぐ身近さが大きな魅力です。

また、体脂肪を燃焼させるには長時間にわたり運動を継続することが必要になってくる訳ですが、水泳やランなどに較べ、単調な運動でも飽きずに長く乗っている(運動する)ことが可能です。ちょっとしたサイクリングでも1〜2時間などすぐに経ってしまうことでしょう。エアロバイクでも効果はありますが、やはり屋外で移り行く景色の中ペダルを漕ぐほうが、遥かに楽しいですね。但し、効果を上げるのなら、ママチャリでサドルにドッカリすわってチンタラ走っているのではダメです。ペダリングと正しい筋肉の使い方を行ない、高速走行に対応した変速付バイクである程度の負荷をかけてやることが効果的です。(※ただ乗るだけでも効果自体はあります。誤解の無いよう…。)

つづく‥

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